紹介書籍:ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考
著者:高橋祥子
発売日:2021年1月
新型コロナウイルスが世の中の様相を一変させ、これまでの常識が覆りました。
劇的に変化する外的環境に対して、生物誕生から変わらぬ生命原則を理解してビジネスを眺めてみましょう。
著者は、生命科学研究者でゲノム解析のベンチャー企業を起業した稀有な経歴を持ち主です。
生命科学の知見がなくとも読みやすい文章で読み進めることが可能です。
本書を読むことで、視野が広がり社会や組織内で自分自身の答えの見つからなかった問いや
モヤモヤ感に対して、ヒントが見つかるはずです。
なぜ生命科学がビジネスに役立つのか?
ビジネスの営みに人との関係性は避けては通れません。組織も人の集団です。上司も部下も人間です。経済的価値を感じて商品を購入するのも人間の意思が多く反映されてます。
いうまでもなく人間は生物の一種です。人間をもっと大きく広い視野から俯瞰することを覚えると様々な現象の見え方もきっと変わるはずです。
本書では生命科学を客観的に理解する。そして生命の法則に抗いながら主観で行動することの有用性が書かれています。
生命原則を客観的に理解する
- 生命は個体として生き残り種が繫栄するために行動する
- 感情を持つことが生存戦略上有利に働いている
- 多様な生物種があることで生命全体の生存確率を上げている
- 思考はエネルギーを消費する。よって人は無意識に思考停止に陥りやすい
誰でも、多忙な時や困難な判断の連続の時には思考停止に陥ることがあります。また、上司や部下の何気ない振る舞いや口に出した一言で怒りや悲しみの感情が芽生えることもあります。そんな時に生命科学の知見があると、悩みも軽減します。
一見合理的ではない行動の理由を経済学や心理学ではなく、生命科学から紐解いています。
生命原則に抗い主観を活かす
本書を読んで生命原則を理解して、
「そうだったのか・・・」
と納得するだけでは、ありません。
本書では生命原則を理解した土台の上に、主観で動くことを推奨しています。なぜならその法則に抗い様々な課題を解決できるのは、人間だけだと説いています。
その課題を解決するためにも、生命科学の知見を取り入れてみましょう。
これから読む人へのアドバイス
本書は様々な課題に対して本質的な正解を提示する書籍ではありません。
著者が生命科学のバックグラウンドを活かして、様々な課題に対する答えをビジネス経験を交えながら主観で書かれています。
読後に社会やビジネスで起こっている事象などへ、様々な思いを巡らすことが
本書の効果を高めることとなるでしょう。