不確実性の高い未来だからこそ、ジェネラリストの強みを考える

2010年代の発売

新型コロナウィルスにより、世界中でこれまでの常識が通用しなくなりました。
ビジネスの未来を勝ち抜くためには、これまで育んだ知識に加えて新たな知識も結合することが大切になると思いませんか。
本書を読んで知識の幅を広げることを考えてみましょう。

【良書紹介】RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる

書籍タイトル:RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる
著者:デイビッド・エプスタイン David Epstein
訳者:東方 雅美
発売日:(原本)2019年3月 (日本語版)2020年3月

アメリカの科学ジャーナリストが早期の専門特化へ警鐘を鳴らし、幅広い知識や経験が役に立つという研究結果を書いた本です。

賛否両論ある日本の大企業のジョブローテーションと、
その仕組みから生まれるジェネラリスト会社員。
昨今ジョブ型雇用(職務給)が再注目されてますが、本書を読めば、幸か不幸かジェネラリストへのキャリアステップを昇っているビジネスパーソンも、きっと示唆を得ることができるでしょう。

意地悪な環境と親切な環境とは?

本書の冒頭では、スポーツで名声を手にしている
ゴルフ界の”タイガーウッズ”と
テニス界の”ロジャー・フェデラー”
を対比して取り上げています。

幼少期から天才といわれ、早期英才教育且つスペシャリストの代表ウッズ。
若年時に様々なスポーツ経験を持ち合わせているジェネラリストの代表フェデラー

スポーツ環境からみた相違点はどこなのでしょうか

親切な環境とは

ルールが明確であり、同様な問題が繰り返し起こる仕組みからくることから
ゴルフを親切な環境と論じています。チェスも同様に親切な環境と分析しています。

意地悪な環境

いっぽう意地悪な環境としてテニスをあげています。
特徴として繰り返されるパターンが少なく不確実性も高く絶えずアドリブ力が求められます。

両環境を単純化してみる

環境を親切な環境と意地悪な環境と書くと穿った見方をしてしまいそうだが、要は「深化や深掘りが功を奏すジャンル」と「探索や拡がりが功を奏すジャンル」と考えれば良いのだろう。

仕事を2つのジャンルに置き換えると、

  • RPAやAIやロボットに置き換われるリスクが高いのが親切な環境=深化が重要
  • RPAやAIやロボットで置き換われるリスクが低いのが意地悪な環境=探索が重要

ではないでしょうか?

早期専門家の弊害とジェネラリストが重要な理由

親切な環境(深化が必要)下のジャンルではスペシャリストに分があり、意地悪な環境(探索が必要)下のジャンルではジェネラリスに分があると主張しています。

ビジネスの世界ではどうなのでしょうか?未だ大企業では残っている終身雇用というシステムもジョブローテーションという仕組みの上で成り立っています。

また、専門スキルを活かした転職なども増えていくとは思いますが、会社が変われば人事評価手法や業務フローなど様々なルールが間違いなく変わります。

運よく同じ企業の同じ職種でビジネスキャリアを全うできたとしても、おそらく外部環境は大幅に変わってくることでしょう。

これから読む人へのアドバイス

本書では幅広い知識を得ることが大切と述べていますが、専門家を否定はしている書ではありません。専門分野と関係ない知識や経験を積み、少し遠回りすることが、長い目で見れば結果的には近道だとも述べています。
今与えられている業務に前向きになれないと思っているなら、いつか役立つ時が来ると思い励むことが大切だと思えてきます。
どんな知識でも、無駄になることは無いと思えば、明るく毎日を過ごすことができます。

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